『惑星ソラリス』で知られるスタニスワフ・レムの短編を、2013年に長編映画化。初無料配信が一ヶ月。
2014年のハリウッドでは、俳優の身体データを記録し、それを動かして映画を自由に作ろうとしていた。それに抵抗していた女優のロビン・ライトだが、難病の息子のために自身のデータを売却することを決断する。
数十年後、薬物をつかって誰もが好きな姿を他人に見せるようになった時代が到来する。そこでロビン・ライトの姿もまた、他人が外見として利用できるようになった……
共産主義国家だった1971年のポーランドで発表されたSF小説を原作に、イスラエル出身のアリ・フォルマン監督が、実写と手描きアニメを組みあわせて映像化。
原作は薬物をつかった混沌とした未来像を描いているらしい。映画では生身の俳優という個人が価値を失っていく現代と、誰もが華やかなアバターをつかって惨めな生活を隠していく未来が、二部構成で描かれた。
前半の実写パートだけでも実写作品の終わりを描いたドラマとして完成度が高く、後半の平面的な手描きアニメとスラム街のような実写パートが重なりあうビジュアルも楽しい。
語り口は淡々としているが、映画産業やインターネットの未来図を予見しつつ、ひとりの女性の悲しい人生と記憶の物語としてよくできていた。