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香港あやかしトライアングル『スウォーズマン 女神復活の章』(01:37:00)配信期間:2020年9月29日~10月12日

香港映画を代表したツイ・ハーク製作の1993年の中国映画。数百年前の中国を舞台にした、国際色と娯楽色たっぷりのシリーズ3作目。

gyao.yahoo.co.jp

去勢する秘伝術で性差を超越した戦闘力を手に入れ、反乱を起こそうとした東方不敗だが、はげしい戦いに負けて崖から落ちていった。

しばらくの後、スペイン軍の道案内をしていた明朝の役人は、死んだはずの東方不敗の声を聞き、不思議な老人と出会う。

さらに別の海上では、徳川忍者の霧隠才蔵の船と、東方不敗がひきいる船が、はげしい争いをおこなっていた……

 

武侠小説笑傲江湖』を原作とするシリーズ2作目は、あくまで宦官的な老人だった東方不敗を美女化した男性として描いた。

そのアレンジをふくらませた完全な映画オリジナル展開で、武術的カルト宗教の指導者にしてアンチヒーローとしての東方不敗の虚名を人々が追い求める。

 

原作では男性同士の同性愛を滑稽に描いているらしいが、この映画シリーズでは美女化した超人が愛人女性や主人公の青年と美しいラブストーリーを展開する。

ちょうど『週刊少年ジャンプ』で連載されている『あやかしトライアングル』のような、いわゆる「TSF」の先駆として楽しめる逸品。

shonenjumpplus.com

この3作目は美しい女性同士のディープキスなどもあるし、変装術をつかった別の性転換描写も存在する。

 

もちろん当時の香港映画らしくアクションも充実。無茶苦茶なスタントと自由なワイヤーアクション、予算のかかった撮影セットと大爆発が展開される。

銃火器を使うスペイン軍はまだしも、たどたどしい日本語をつかう忍者軍団や、宙を舞い気を飛ばす中国武術家の荒唐無稽なバトルは見ているだけで楽しい。木造船の砲撃バトルや当時ではありえない性能の描写などで特撮の見どころも多い。

なぜ忍者なのに鎧武者姿なのかと疑問に思ったら賭けのやりとりを伏線として「中の人が小人」という真実が明かされたり、あくまで東方不敗は敗北した悪人と自認して味方であっても偽者を嫌ったり、意外と物語にも面白味があった。

 

ちなみに、東方不敗というキャラクター名や笑傲江湖という原作タイトルが格闘ロボットアニメ『機動武闘伝Gガンダム』に引用されたことでも一部で知られている。

www.g-gundam.net

2作目の回想描写になるが、気を飛ばして手形が圧力で刻印される描写など、必殺技「石破天驚拳」の元ネタも確認できる。ファンなら一見の価値あり。