1990年ごろに初放映された3作品の、近年にデジタルリマスターされた版が、1週間の初無料配信。
『笑ゥせぇるすまん』で知られる『ギミア・ぶれいく』の番組内アニメ枠で放映。合計すると普通のTVアニメ1話と同じくらいの長さ。
どれも藤子不二雄とかかわりが深いシンエイ動画制作だが、注目は藤子不二雄Aの意向で作られた、内田春菊原作の『呪いのワンピース』。
下請け会社として技術力をのばしていた京都アニメーションが、グロス請けと呼ばれる方式で演出や作画から仕上げまで、主要な工程をすべて担当。昨年の放火事件で亡くなられた木上益治が監督として演出を担当するだけでなく、作画監督としてアニメーターを現場で育成。
ここから京都アニメーションはグロス請けで各話まるごと高いクオリティで制作していくこととなり、元請け会社として飛躍する道筋をつけた。業界に与えたインパクトの大きさは入江泰浩監督のインタビューにくわしい。
「呪いのワンピース」の原画と修正を見る機会があったのですが、木上さんは若い新人の原画マンを指導しつつ、ご自身も多くの原画を描いていました。繊細な線で描かれた丁寧な芝居に圧倒されたのを覚えています。その当時は「木上さんの力があったからこそ出来た映像」と感じていました。しかし、その見方は甘かったと今になって思います。そのクオリティは一過性のものではなく、その後30年近く、木上さんが京都アニメーションの新人を育て続けたからこそ、今に至るまで数々の驚異的な映像作品が生み出されたのです。
鏡面のように空の風景を地面に反映させる演出など、後の京都アニメーション作品で多用される技法が確認できる面白味もある。
なお、他の作品もけして悪い出来ではない。
たとえば『景山民夫のダブルファンタジー』は『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』といったシンエイ動画のメイン作品を担当していた原恵一監督の手によるもので、これはこれで必見だ。