最新作『殺人者の記憶法』が絶賛されたウォン・シニョン監督の2014年作品。初無料配信を約一ヶ月。
元凄腕の工作員が、脱北して韓国で運転手をつとめていた。そこで脱北者や北朝鮮の飢餓を支援する会長の暗殺事件に出くわす。
容疑者あつかいされた元工作員は、韓国の官憲に追い立てられながら会長の残した謎を解き明かしていく……
現代韓国映画らしいハイレベルなスパイアクション。
過去の特殊工作で香港やプエルトリコにロケして戦闘シーンを展開。韓国の特殊部隊の訓練シーンもパラシュート降下時の事故を描写。短い場面でも手を抜かず映像化することで、見どころの多い大作感がある。
パルクールやカーチェイスを駆使したアクションも、いかにも危険なシーンを危なげなくこなしている。南北分断を題材としながら北朝鮮を悪魔化せず、敵を信じて救いの手をのばす意義を感動的に描いていく。ぎっしり見どころのつまった娯楽作品だ。
ただこの作品は『ボーン・アイデンティティー』から流行した手ぶれカメラと短いカット割りのアクション演出を多用しすぎていて、ちょっと見づらく画面酔いしがちな問題はあった。そこだけが少し残念。