RHYMESTER宇多丸が絶賛した2013年の韓国映画。その無料配信が2週間。
車で急いでいて男をはねた主人公。死んだ男をあわてて隠してしまい、その場しのぎをくりかえして自分で自分を追いつめていく。
同種のサスペンス展開は昔から珍しくなくて、アラビアンナイトでも死体を押しつけあうブラック短編があるし、韓国映画でも『悪のクロニクル』のような類例がある。
しかし長編映画にすると、死体隠しは発端にとどまり、途中から物語の主軸が変わっていく。一方この作品も第三の悪人が登場したりするが、死体が重要な小道具として終盤まで舞台の中心にありつづける。
主人公はぎりぎりの綱渡りをつづけるが、それが愚かな選択の結果でしかないことを、ちゃんと映画のなかでつきつけていく。それでいて、数多くの苦労と決断の果てに、どこかカタルシスを感じさせる結末にたどりつくという妙味もある。
もちろん現代韓国映画らしく、迫真のカーチェイスや血みどろの格闘戦など、ノワール映画としての見どころもたっぷり。
死体をオモチャにするブラックユーモアを受けいれられるなら、エンタメとして必見だ。