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ある閉ざされた雪の山荘で、19世紀の賞金稼ぎによる殺人喜劇『ヘイトフル・エイト』(02:48:00)配信期間:2019年8月30日~9月5日

南北戦争直後を舞台にした、2016年のミステリー映画。最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』も話題のクエンティン・タランティーノ監督の前作だ。

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賞金稼ぎと賞金首を乗せて、吹雪から逃れようと急ぐ駅馬車。そこに次々と新たな乗客が助けを求めて乗りこんでくる。

目的地にたどりつく前に吹雪がひどくなり、山中で孤立した服飾店に逃げこんだ男たちが、人種や思想で対立していく……

 

宣伝文句では「密室ミステリー」とあるが、あくまで閉鎖環境の密室劇というだけ。いわゆる推理小説における密室が登場するわけではない。

序盤は駅馬車、中盤以降は狭い山荘と周辺だけを舞台として、3時間近くを10人に満たない登場人物の会話劇でもたせていく。

しかし南北戦争直後だけあって、人種も異なれば戦争や賞金稼ぎへの距離感も違う人々が、たがいに持論をぶつけあうだけでサスペンスが生まれる。それぞれのプロフィールが語られていくくだりも、歴史劇の一断片のように興味深い。

厳密なミステリーではないわけだが、謎めいた殺人計画もあれば、そこから始まる推理もある。あくまで想像をめぐらせて思いつきで容疑をかけるばかりで、厳密さには欠けるが、可能性を組み立てていくところにミステリーらしさを感じないでもない。

さらに人間関係を動かすどんでん返しもあるし、そこから伏線をふりかえっていく流れもある。ミステリーに近い西部劇サスペンスであることは間違いない。

 

 

いかにもタランティーノらしいエログロギャグも楽しく、人種問題のギリギリをわたっていく緊張感はなかなかのもの。

さすがに3時間近くは長すぎて視聴するのに体力が必要だが、各章にパート分割されているので休憩しながら見ることもできるだろう。

もう少し短くかりこんだほうが娯楽作品として見やすくなったとは思うが、どこかダラダラしたテンポは古い映画へのリスペクトとも感じられる。