何度か無料配信された深作欣二監督の1981年版ではなく、『学校の怪談』シリーズを手がけた平山秀幸監督版が3週間ほど無料配信。
映画オリジナルで天草四郎時貞をラスボスにした1981年版を意識しながら、全体的に対照的に作られており、物語は天草四郎が島原の乱で敗北する場面から始まる。
そこから天草四郎が神に失望して徳川幕府を終わらせようと暗躍する、アンチヒーローの和風ダークファンタジーとして物語が展開される。
1981年版と違って最初から徳川内には内紛の芽があり、操ろうとした相手に天草四郎が軽んじられる瞬間もある。2003年の天草四郎は凶悪で底知れぬ魔物ではなく、挫折して闇に落ちた若き革命者なのだ。
対する柳生十兵衛は佐藤浩市が演じ、1981年版より弱々しい印象がある。ただそれが剣豪たる主人公ではなく、政争にはかかわれないまま現場で事態を収拾しようとする隠遁者というキャラクターには合っている。
クライマックスも、赤々と城が燃えあがる1981年版と、雨降るなかで城が崩れる2003年版のコントラストが印象的だ。
東映時代劇が遺した技術と東映特撮研究所のVFXが合わさり、重厚とはいいづらいチープなビジュアルも多い。
しかしファンタジー映画と思えばそれなりに予算をつかってセットを組んだりロケ撮影をしており、まんべんなく見せ場はある。冒頭を基準として、それ以降は安くならない。