SF小説の父、H・G・ウェルズが1898年に発表した小説を、2005年にスティーブン・スピルバーグ監督がトム・クルーズ主演で映像化。
1953年にもカラー特撮映画化されて、そのミニチュアの作りこみや、屋内で襲ってくる火星人などの演出が現在まで高評価されている。
この2005年版は父が娘を守るドラマをつけくわえつつ、基本は1953年版をブラッシュアップしたエンタメ。精緻なミニチュアで崩れる教会を皮切りに、次々に最新VFXとアナログ特撮の融合したスリル描写が襲いかかってくる。
タイトルに反して侵略から逃げまどう一市民の物語だし、オチは19世紀の作品そのままなので、公開当時はひょうしぬけという感想も多かったらしい。
しかし深みを期待せず、肩のこらない娯楽作品としては、スピルバーグの演出力が素直に楽しめる。異変が始まるのが開始約20分とやや長いことだけが難点か。