1999年の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』で一世を風靡したエドゥアルド・サンチェス監督による、2015年のPOVホラーが初配信。
POVホラーの多くは、劇中カメラで撮影したというコンセプトで、あまり怪異の正体を見せない。上手な演出であれば想像力を喚起して普通のホラーより恐ろしくなるが、下手な演出であれば思わせぶりで見えづらいだけになりがち。
しかしこの作品は、作品情報でも説明しているように、類人猿タイプの未確認生物「ビッグフット」が登場することを冒頭から明かしている。つづけて本編を見ても、POVホラーとしては異例なほど、序盤から登場してくる。
さすがに全身をはっきり見せる場面は少ないが、さまざまな痕跡がカメラに映され、劇中の若者たちもパニックを起こしていく。おそらくは低予算作品だろうに、ビッグフットの襲撃による破壊はかなり大がかりで、ちゃんとモンスターパニックらしいアクションにつながっていく。着ぐるみで表現されているらしいビッグフットも、人間より少し大きいくらいのサイズだが、怪獣のように暴れまわる。
襲撃のシチュエーションも多種多様で、中盤からはダレる場面が存在しない。逃げられるか捕まるかという緊迫感ある追いかけっこから、閉じこめられた状況でどう切りぬけるかという閉塞感ある立てこもり、そして助けを求めての脱出口まで、娯楽作品として充実していた。
難点をあげると、序盤20分くらいは若者たちのたわいもない遊びが多いし、あまり好感をもてるキャラクターはいない。
しかし展開に無駄なキャラクターはいないし、劇中でカメラを撮影しつづける伏線もそれなりにある。
POV作品がしばしば劇中での撮影を放棄したり、危険な場面で撮影をつづける行動が理解不能になりがちなところ、さすが先駆者だけあって最低限の基準は守っていた。
さほど長い作品でもないし、興味があれば見て損はないと思う。