2011年に公開され、マニア絶賛のスラッシャーホラーが初配信。R15なのでログインが必要。
タイトル通り、できるだけ予備知識 を持たずに視聴すれば、よくあるジャンルからの発展を楽しめるだろう。
ちなみに原題は劇中で犯人がしるす文章と同じ『You're Next』で、直訳するなら『次はお前だ』。
スタッフなどのくわしい情報は、生存している公式サイトで確認できる。
内容を見ると、動物のマスクをかぶった大量殺人犯による襲撃から始まる、一見するとよくある作品だ。
しかし、犯人たちの行動は『13日の金曜日』などに比べて手がこんでいる。殺戮を楽しむようでいて、序盤から一気にかたをつけようとする。
一方、襲われた一家は人数が多くて、両親と4人の子供、さらに子供にひとりひとりパートナーがいて、合計10人。おかげで犯人の奇襲で全滅することなく、広い屋敷を使って犯人への対処をこころみる。
やがて、ひとりのキャラクターの意外な設定が判明。映画のおりかえし地点から、犯人の計画を完全に狂わせていく。
もちろんシリアルキラーに抵抗をこころみるホラー映画には多くの前例があるし、逆転できる作品もいくつかある。
しかしこの作品の逆転劇は鮮烈で、よくできたアクション映画のようなカタルシスを生みだす。
同時に凄惨なホラー作品らしさも失わない。次々に意外な顛末をむかえていくキャラクターと、真相が明かされても終わらない不条理さで、嫌な後味がホラー映画らしく残った。
かなり複雑な物語だが、脚本はしっかり練られている。途中は違和感をもったキャラクターの愚行も、最後まで見ると納得できるところが多い。
映像がしっかりしていて、予算不足を感じさせないことも素晴らしい。照明からして落ちついた雰囲気がある。
犯人の襲撃はカット割りが細かく、スローモーションも適度におりまぜていて、ていねいに素材を撮り集めていったことがうかがえる。破壊される小物などの美術も、富裕層の持ち物らしさを感じさせるだけの質感がある。人体破壊の特殊メイクもしっかりしている。
広い建物の構造や隣家との位置関係もわかりやすく映像で示され、追跡劇や格闘戦でわかりにくくなることがない。おかげで複雑な敵味方の状況にもついていける。