新たなスタッフで作る続編『ブレードランナー2049』の宣伝として日本版が公開。台詞は日本語。制作会社はゲーム会社から派生したCygamesPictures。
冒頭に新作監督の短いコメントがあり、3作の短編をオファーしたという新情報も出てきた。
オファーされたのは、『カウボーイビバップ』で未来の賞金稼ぎを、『残響のテロル』で現代日本のテロルを描いてきた渡辺信一郎監督。ハリウッド映画の宣伝として日本のアニメ会社に短編を作らせる潮流を生みだした『アニマトリックス』にも参加していた。
その作風を前面に出した映像で、1982年の伝説的ハードボイルドSF映画『ブレードランナー』の、新作映画とのミッシングリンクを埋める。
物語は人造人間「レプリカント」の新しい設定を説明するだけのシンプルさで、特に悪くはないが、斬新というわけでもない。情景の多くも原典となる『ブレードランナー』から引用している。
リドリー・スコット監督が1982年に見せた近未来感は、素晴らしい特撮技術とあわせて各国の近未来SFに影響を与え、もちろん日本でも『攻殻機動隊』等でオマージュをささげられている。
渡辺信一郎、「ブレードランナー」短編上映会で「やりすぎなぐらい力入れた」と告白 - 映画ナタリー
飛行車“スピナー”のデザインを担当した
荒牧伸志も登壇。荒牧は「ブレードランナー」について「僕個人もそうですけど、アニメ業界の人間がすごくショックを受けた作品でした。特にSFをやってる人間にとっては、避けて通れないような映画」と話す。そして「今では霧が煙る高層ビル街とか汚い雨が降っている光景という近未来像は当たり前のものになってるけど、この映画で初めて僕らの前に姿を表した」と続け、「僕が自作で空に広告用の飛行船を浮かべるのは『ブレードランナー』の影響です」と述べた。
それゆえ現在のアニメファンからは特に新しくもない普通の情景デザインに見えるかもしれない。
しかし提示されるアニメーションの質は最高だ。日本トップクラスのアニメーターが結集して、リアルな頭身の格闘戦から、アートアニメのような回想シーンまで、全編に見どころがつまっている。