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新作の発表に合わせて、新海誠監督4作品が初めてのHD配信『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』配信終了日:2015年12月17日

GYAO!を運営しているYahoo!ニュースで各作品をふりかえる監督コメントもとっている。

「言の葉の庭」ほか新海誠監督4作品をGYAO!で無料配信 見どころを自身が解説/<いま、おもう>インタビュー (トレンドニュース(GYAO)) - Yahoo!ニュース

監督コメントから興味深い部分を抜粋しながら紹介。

 

雲のむこう、約束の場所[B-ch]|無料動画 GYAO!|アニメ

 

今度は本格的なアニメ映画をやりたいと思って。『ほしのこえ』では1人だったので、その2倍、3倍という規模の作品でも、あと何人かいればできるんじゃないかという単純な気持ちで始めてしまったんです。

そんなわけで勢いで短いパイロット版(試作版)を作り始めちゃったんです。吉岡秀隆さん、萩原聖人さん、南里侑香さんに声も入れてもらって。背景は僕が描いて、田澤潮さんが作画をやって。

 

 今に繋がる僕たちの背景美術チームの原型が出来たのもこの作品でした。11年前、デジタルで絵を描いた経験のない美大出身者たちを集めて、ゼロからデジタル美術のノウハウを組み立てていったんです。日本のアニメーション映画で背景美術を全てデジタルで行ったのは、この作品がほぼ初だったのではないでしょうか。


秒速5センチメートル|無料動画 GYAO!|アニメ

もう少し自分の手の届く範囲で作品を作り上げようと思ったので、尺も『雲のむこう~』より短くし、三部作のオムニバスという形をとりました。ビジュアルは今観ても見どころがあると思いますし、日常の風景を徹底的に描き直すというのは、当時のアニメーションの美術としてはややめずらしいことだったのではないかと思います。

 

 自分が作品を作る時はいつも、観た人を励ましたいなという思いを込めています。『雲のむこう~』の時は、「人の記憶」がその先の人生を励ましてくれるんじゃないかということを考えていましたし、『秒速~』では、「風景」が人を励ましてくれるといった思いを込めました。

 

 ただ、反省点もあって、今だから言えるんですが、制作の最後の方にはちょっと息切れしたんです(笑)。本当は最終話にあと10分程度、なにかドラマを描きたかった。

 

星を追う子ども|無料動画 GYAO!|アニメ

 

 それからもうひとつ。日本のアニメーションの伝統的な作り方の現場を学びたかったということがあります。まずは紙とえんぴつの世界。それまでは、絵コンテもデジタルで描いてきたんですが、この時はとにかくB4の紙にえんぴつで描くことに注力しました。

 

 この作品あたりから客層がガラッと変わった印象があります。年齢も変わったし、性別もファッションも変わった気がします。単純に言うと客層が若くなったし、女性が格段に増えた。カジュアルに拡散した感じはありますね。

 

言の葉の庭|無料動画 GYAO!|アニメ

 

 僕は今まで「ギャップ」を物語の原動力にしてきたんです。例えば『ほしのこえ』だったら「宇宙と地球のギャップ」だったし、『雲のむこう~』は「現実と夢のギャップ」「東京と地方のギャップ」だった。『星を追う子ども』は、「地上と地下のギャップ」「生と死のギャップ」でした。それを『言の葉の庭』では、自分たちの身近な話題に引き寄せて、「社会的立場のギャップ」にしたんです。

 

 『言の葉の庭』は今までの作品制作の反省を踏まえて、とにかく完成度を高めることに注力した作品でした。尺が短かったということもありますが、それはある程度実現できたのではないかと思っています。物語面でもビジュアル面でも制作体制の面でも、きちんとやりきれたという感触がある。だからこそ、『言の葉の庭』の次の作品では違ったチャレンジが必要だと思いました。
だから現在制作中の『君の名は。』(2016年8月公開予定)はまた違った作品になると思います。

 

少しずつ変化してきたという新海誠作品。新作も楽しみにしたい。

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