1988年の短編アニメ。ガンダムダブルゼータをデザインしたことで知られるメカデザイナー小林誠が、自身の漫画を原作に監督した。
クリエイター小林誠のプロモーション作品といったところ。
歴史的には巨大模型を使った実写オープニングに記録するべき価値があるだろうか。同時期、『装甲騎兵ボトムズ』の映像ソフト総集編オープニングや、アニメ作品の予告映像に、実写が使われる事例がいくつかあった。
後に雨宮慶太監督作品に参加する竹谷隆之も、このころ小林誠に師事しており、スタッフとして参加。しっかりスモークをたいて、本格的なギニョール特撮になっている。設計図より大きな2メートルサイズに造形してしまっただけあって、実写ロボット特撮として意外と悪くない巨大感。
エンディングではメイキング映像が約10分流れ、 実写スタッフのバカ話を楽しむことができる。
キービジュアルからはシリアスな物語と思われるかもしれないが、本編はコミカルな語り口で、自律機動する巨大ロボットの性格も明るい。そのパートナーとなる少女の性格は、さらに明るい。
『Dr.スランプ』の鳥山明のような作風、といえばわかりやすいだろうか。作者がどちらも模型作りを得意とすることも共通している。
映像作品としては、宮崎駿監督の漫画版『風の谷のナウシカ』や、それに影響を与えたフランスの漫画家メビウスの絵が、そのまま動いているよう。約30分の短編とはいえ、細かくタッチをつけたメカが手描きでアニメーションする映像は感動的だ。