制作会社スタジオカラーと映像配信社ドワンゴが組んで提供する、短編アニメ作品企画「日本アニメ(ーター)見本市」の第二十一弾。
地球ではない地球そっくりの惑星で、くりかえされる文明の発展史とSFメカによる戦闘。そして青い髪の女性との邂逅。
最後に明かされる「偶像」の意味とは……
架空のSFアニメ映画をダイジェストしたかのような作品。これまでスーパーロボットよりだったこの企画で、はじめて直球のリアルロボットよりの作品が出てきた。
20世紀末SFのエッセンスを抽出した、当時は最先端だったビジュアルを現代の手堅い技術でアニメ化。アイデアあふれる構図のアクションが次々に展開されながら、ボーイミーツガールの雰囲気をもただよわせている。
これまでも声優は山寺宏一と林原めぐみのふたりだけだったが、今回はBGMが流れるのみ。台詞は字幕で処理される。複雑な設定を台詞のかけあいで少しずつ明かしていくためには、いくら芸達者でも声優ふたりでは演じわけが難しいという判断だろうか。
スタッフは、『新世紀エヴァンゲリオン』でさまざまなSF設定をデザインした山下いくとが監督、『機動戦士ガンダムUC』の古橋一浩がアニメーション監督。
山下いくとは原案から脚本、イメージボード、キャラクターとメカニックのデザイン、さらに静止画部分の原画まで担当。本人の絵は、繊細な線をラフに重ねつつ、スクリーントーンを多用したグラデーションが特色。つまりセルアニメに向いていない画風なのだが、そこはデザイン原案とわりきってアニメ化。
キャラクター作画監督は近年はコンテマンとして活躍している寺岡巌、メカニック作画監督はサンライズ若手の金世俊。他にもTVアニメの第一線で活躍しているアニメーターが多数参加。3DCGを使わずに達成できるメカニック描写のベンチマークとして、そして定期的に見られるアニメ技術のベンチマークとして、良いプロモーションといえるだろう。