1960年ごろの炭鉱町の記憶を描く、2010年の日本映画。
けして予算がたっぷりある大作ではないが、オール九州ロケによる現地の空気感がスクリーンに映しだされ、映画らしい情景をつくりだせている。
そして、炭鉱町で必死に生きていた少年たちの、直面する光と闇をあまさず物語にうつしとった。
苦しい生活をしいられる在日朝鮮人や、労働争議における組合とヤクザの対決など、日本社会が忘れさろうとしている炭鉱の闇。
その苦しい時代を、「信さん」と呼ばれる少年がすがすがしく駆け抜けていく。
ちょうど7月6日に明治日本の産業革命遺産が世界遺産に選ばれつつ、その歴史の影を日本が忘れようとしている。
何度も無料配信された作品だが、炭鉱町の歴史を心にきざむためにも、あらためて視聴しておきたい佳作だ。