制作会社スタジオカラーと映像配信社ドワンゴが組んで提供する、短編アニメ作品企画「日本アニメ(ーター)見本市」の第十一弾。
眠りつづける巨大怪獣が電気を生みだしている都市に、謎の巨大ロボットが飛来。ロボットは怪獣を攻撃するだけだが、その戦いで都市は大混乱におちいっていく。
原案から監督、脚本、絵コンテ、演出まで吉浦康裕が担当し、同じく原案の金子雄司が怪獣や背景のデザインなどを手がける。制作会社はスタジオ六花とトリガーの共同。
文明を風刺するSFのようでいて、ふみこみは浅い。しかしそれはライトな作品として楽しめる良さでもある。
いかにもスタジオ六花らしく、制作リソースからできることを逆算して物語をくみたてているかのよう。
怪獣とロボの質感を表現するために最低限の3DCGを使い、都市は静止画の建物をスライドさせて広さを表現する。手描きアニメで群衆を描く時は、頭部から上しか映さず、労力を節約しながら都市を同じ画面におさめる。
それでも背景美術は緻密で、ちょっとレトロでいて上品な情景が美しい。キャラクター作画も全体をとおして整っている。怪獣とロボの巨大感も素晴らしく、鳥と対比するような定石を、逃げずに最後まで徹底していた。
まとまりという意味では、これまで公開された作品でもっとも良かったかもしれない。