制作会社サテライトのオリジナルコンテンツ『アクエリオン』シリーズ。主導するのは『超時空要塞マクロス』のメカデザイナーとして知られる河森正治。
その3作目となる『アクエリオンロゴス』が2015年7月に放映されることが発表された。
それに合わせて、シリーズ開始の1作目と2作目が一挙配信。
『創聖のアクエリオン』は2005年に放映された。時空を超えた壮大なファンタジーを、ギャグ一歩手前で展開する快作にして怪作だった。
『マクロス』スタッフ作品らしく、メカと主題歌だけが売りかと思われた。
戦闘機から人型へ変形するバルキリーをデザインした河森正治が、今度は3機の飛行メカがくみあわせにより3種類の人型になるアクエリオンをデザイン。デザイン段階で立体として嘘をついておらず、発売された玩具は劇中通りの合体変形と体型を再現できていた。
また、菅野よう子作曲、AKINO歌唱による主題歌も魅力があった。特に1期主題歌は、後に作品がパチンコになった時のCMで、「あなたと合体したい」というキャッチコピーともども再ブレイク。「一万年と二千年前から愛してる」というフレーズをおぼえている人は多いはず。
しかし絵と音の美しさだけにたよった作品かというと、さにあらず。古典的ロボットアニメのフォーマットを活用して、ギャグ寸前の訓練と説教と合体シーンをとおして、不思議と感動できてしまう作品でもあった。
映像は3DCGでロボットを表現した嚆矢として評価できるが、全体としては高低差のあるつくり。特に第19話の、アニメーターうつのみやさとるの個性が発揮されたビジュアルイメージは作画マニアに絶賛された。
『アクエリオンEVOL』は2012年に放映された。1作目の続編だが、メインスタッフの多くが交代。一万二千年後の世界なので、キャラクターも一新されている。
各話完結のロボットアニメとして楽しめ、その上でギャグ寸前のテーマが語られていた1作目。しかし2作目はロボットアニメ色が弱まり、テーマだけが前面に出る結果となった。
物語を引っぱるようなアクティブさが主人公にないため、展開がもたついて感じられたのも難点だった。
映像も、平均こそ向上したものの、ときどき圧倒的だった1作目の輝きが薄れてしまった。
連続して視聴すれば印象は良くなると思うが、作品の魅力は中盤の悲劇と、終盤の謎解きくらいだろう。ただ終盤の展開は、きちんと終わった1作目の印象を変えてしまうので、好き嫌いがあるかもしれない。
さて、さらにメインスタッフがかわった3作目はどうなるだろうか。