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キッチュでビザールでスプラッターなイタリア映画ホラーの現在形『サスペリア・テルザ 最後の魔女』(01:41:38)配信期間:2021年1月15日~2月14日

安っぽくも刺激的なイタリア映画の最盛期に傑作『サスペリア』を送り出したダリオ・アルジェント監督の、三十年越しの完結編。初無料配信が要ログインのR15で一ヶ月。

gyao.yahoo.co.jp

イタリアの墓地近くから謎の遺物が発見される。それをわたされた女性サラは研究者として魔女の因縁に巻きこまれていく。

やがてローマに無軌道な犯罪が蔓延し、外国から奇妙な女性たちが来訪し、恐怖と流血の惨劇がはじまった……

 

1977年の『サスペリア』と、1980年の『インフェルノ』につづく三部作の完結編として、2007年に公開された。

しかし魔女のテーマやモチーフは共通しつつも、キャラクターや時代設定は異なる別作品だ*1。原題も敵「涙の母」の名称をそのまま使っている。

まったく違うジャンルの、しかも旧作を続編のようなタイトルにされた『サスペリア2』ほどひどくはないが。

 

また、かつては安っぽくも美学につらぬかれていたアルジェント監督作品だが、徐々に物語のつじつまを放棄していき*2、映像もシュールで意味不明になっていく。

この作品もスプラッターの刺激を強調するばかりで、魔女の醜くかつ美しい恐ろしさを表現できているとは言いがたい。とにかくデジタル撮影で画面全体がくっきり映りすぎて雰囲気がない上に、怪物も亡霊も堂々と姿をあらわして、魔女が奇怪な化粧をした騒々しい女性として歩き回り、映像に神秘性がまったくない。

とはいえ、日本にもファンの多い老監督が、きちんと新作をつくってくれただけで嬉しいところはある。日本的な魔女も登場することだし。

*1:ただし弱体化した魔女が過去に倒されたという逸話が語られ、『サスペリア』を前日譚に位置づけているようだ。

*2:奇妙なファッションの女性に追いかけられただけなのに、サラの反撃がいきなり過剰すぎる。それでいて他の場面では反撃もろくにできずに何も考えていないように逃げるばかり。