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政治家に直接働きかけるロビイストの、できることとやるべきこと『女神の見えざる手』(02:12:09)配信期間:2020年11月30日~12月13日

『恋に落ちたシェイクスピア』のジョンマッデン監督による、2016年の米国映画。もう配信終了間近だが、字幕と吹替で2週間無料。

gyao.yahoo.co.jp

優秀なエリート女性のスローンが、銃規制法案の廃案に力を貸すよう求められる。

しかしその活動はスローンの信条に反していた。スローンは銃規制のために動くが……

 

アメリカを左右するテーマの社会派映画に見えて、実際そのようにシリアスな展開がつづくが、全体としては騙しあいと駆けひきを重視した娯楽作品。

女性主人公のスローンはバリバリ仕事をこなし、展開の先を読み、いくつもの逃げ道を用意する。剛腕ぶりで部下を動かし、冷徹に状況を分析し、悲しむべき感情も材料として利用する。

プライベートでは若い売春夫を呼び、金を使ったセックスを楽しむ。そんな売春夫もひとりの男としてスローンに魅了されていく……

 

 

討論会でスローンが途中から反論にならない反論をはじめていく局面で、この映画は社会的メッセージを正面から主張する作品ではないことをあらわにする。

それ以降の物語では、銃をめぐる事件が少しありつつも、銃規制そのものではなくスローンという女性の存在そのものが追及されていく。

 「ガンジーでも激怒する」という台詞があるほど激しく煽りあう世界で、スローンはついに敵の挑発に乗る……

 

意外なことに全体の印象で最も近いのは、ジェームズ・ボンドに代表される古き良きスパイ映画のような、気楽な活劇だ。

それを男女の性別を逆転して、アクションではなくコンゲームとして展開している。スローンのような強さに理由などない女性にくわえ、痛ましい過去をもつ真面目な女性や、スローンと別れて知略を見せる元部下など、さまざまな登場人物が女性が主体となる物語を奏でていく。

最後にはロビイストに左右されるアメリカ議会という民主主義における問題があばかれ、それなり以上に社会派映画としても完成している。しかし、とりあえず強い女性の活躍や挫折で手に汗をにぎるドラマとして楽しむのが良いだろう。