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中米独裁政権の実話にもとづく女囚拷問映画『赤の涙』(01:49:11)配信期間:2020年10月9日~11月8日

2016年のスペイン・ウルグアイ合作映画。字幕のみで約1ヶ月無料配信。

gyao.yahoo.co.jp

中年女性が平和な生活をおくりながら、過去へ向きあおうとしていた。

1975年、反共産主義独裁政権が市民を弾圧していたウルグアイ。そこで資本主義に反対して共産主義を求め、反政府活動をおこなう若者たちがいた。

そのひとり、女性写真家のリリアナはある日突然拘束され、他の活動家とひとまとめに兵舎で拷問される。そして刑務所での長い日々がはじまった……

 

監督のマナネ・ロドリゲスをはじめ、日本のインターネットではほとんど情報がわからないスタッフによる近現代実録映画。

独裁政権を脱しつつも記憶と傷がいえない2010年代の視点から、1980年代までつづいた苛烈な警察国家で何が起きたかを淡々と描く。

 

回想では前提となる独裁国家の不自由ぶりは省略され、最初から主人公が反政府活動に身を投じている。知識をもたない観客を反政府活動に共感させるつくりではない。

どちらかといえば、反政府活動に対する国家側の不法で不当な弾圧を批判し、その被害者の尊厳と回復を描くことに力を入れた作品だ。

過去を再現する大規模セットやアクションシーンこそないが、ほとんど俳優が全裸となった拷問シーンは痛ましく、映画らしい迫力があった。

そこから時代を超えて女性たちが支えあうシスターフッドの力強さも印象的だった。描かれる情景はいわゆるトーチャーポルノや女囚映画のようで*1、性的暴行シーンも少なくないのだが、苦しい生活のなかで少しでも抵抗しようとする人々の力強さを讃える物語になっていた。

*1:その観点からも迫真性とリアリティで高評価できそうな作品でもある。誤解を恐れずにいえば。