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沖縄の巨大遺跡を舞台にした冒険ファンタジー特撮『モスラ2 海底の大決戦』(01:39:26)配信期間:2020年9月17日~10月16日

1997年12月に公開された日本映画。海底から浮上した遺跡を舞台に、子供たちと怪獣が冒険する。おそらく初無料配信を約1ヶ月。

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沖縄の石垣島に、謎の醜悪な毒性のヒトデがあらわれ、日本中の海に広がっていく。

そしてそのヒトデを生みだす怪獣や、少年少女が出会った妖精の争奪戦が、謎の遺跡へと収束する……

 

1961年の映画をリメイクした三部作の2作目。なお、すでに1作目は配信終了。

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インディ・ジョーンズ』のようなテーマパーク的な遺跡探検映画としては楽しい作品だ。

海底から浮上するミニチュア遺跡は東宝の特撮プールいっぱいの巨大さで、子供と大人が追跡劇をくりひろげる遺跡内部も日本映画としては驚くほど長大だ。当時の日本映画では珍しく3DCGで立体的な空間も描いている。

しかし怪獣映画としては海底や山奥でばかり戦い、光線技ばかり多用して、予算不足がうかがえる。後半はミニチュア遺跡の周辺で戦いがつづくのでビジュアルの変化にとぼしい。市街地戦のミニチュアは校舎ひとつくらいで、大半は合成ですまされた。

ゴジラVSビオランテ』から東宝特撮をささえた川北紘一の映画で最後の特技監督がこの作品というのは、ややさびしい。前年の怪獣映画『ガメラ2レギオン襲来』で若手特撮スタッフが新しいビジュアルを展開したこともあり、良くも悪くも世代交代を印象づけた。

 

 

本編監督は米田興弘から助監督の三好邦夫に交代。これが初監督作品となるが、この1作で業界をしりぞいたのか、以降は映像作品にクレジットが見あたらない。

良くも悪くもNHKの教育番組のような作りで、子役も大人も演技がわざとらしい。沖縄が舞台なのに誰も方言をしゃべらないし、女性は「だわ」「なのよ」といった役割語を話す。風が強く海が荒れた天候なのに、温和な日常を撮影したりする。正月映画にあわせたスケジュールで急いで撮ったかのようだ。

ただこれが初主演作品となる子役時代の満島ひかりは、幼くも凛とした顔立ちで、演技も達者。沖縄出身なのに方言をしゃべらないことはもったいないが。

 

物語も1作目より説教臭くなく、遺跡内部で秘宝をさがす目的が明確で、娯楽作品としては無駄が少ない。そのかわりモスラの戦いが背景でしかなくなっているが、先述のように予算不足なところで無理をするよりは良かったのかもしれない。

ニライカナイの秘宝の正体が「ゴーゴ」という設定も、意外でいて納得感がある。序盤に登場した「ヒトデ」がベーレムというニライカナイの「人工生物」と前半で説明されたことで、秘宝もその延長として理解できる。

モスラのさまざまな能力がご都合主義っぽかったり、序盤の学校描写があまり後半のドラマで生きてなかったり、大人の改心がちょっと急すぎたりといった難点もあるが、子供向けエンタメとして一貫しているので、これはこれで悪くない。