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刑事をやめた男が新たな土地で狂気に飲みこまれていくミステリアスホラー『クリーピー 偽りの隣人』(02:10:15)配信期間:2020年5月8日~5月21日

2016年の黒沢清監督作品。香川照之が不快で不可解な隣人を演じる。約2週間の初無料配信。

gyao.yahoo.co.jp

原作小説の『クリーピー』と前半まではほとんど同じ展開らしい。しかし中盤に隣人が正体をあらわしてからは、大きく展開が異なるようだ。

前半は長回しを多用して、黒沢監督らしい不穏な空気感と、さりげなく素っ気ない犯罪のリアリティにあふれている。薄汚れた住宅街も生活感あって、現実に存在しそうだ。香川照之演じる西野という謎の男も、くるくる主張が変わる異様な雰囲気に満ちている。

後半は一気にリアリティが壊れていき、誰もが無謀に単独行動しては罠にかかっていく。平凡な住宅にはありえない空間と設備が姿をあらわし、恐怖から逃れられない不条理劇と化していく。これはこれで『カリスマ』などの寓話的な黒沢作品らしさがある。

 

前半と後半のリアリティの落差や、登場人物の知能の乱高下から、あまりサイコサスペンスとしての評価は高くないのだが、特殊なジャンルのホラー映画と思えば完成度は高い。

サスペリア2』などの1980年代イタリア映画のような人工的ホラー作品と思って見るのが良いだろう。