ふむめも@はてな

フリームービーメモ。GYAO!、YOUTUBE、バンダイチャンネル、ニコニコ動画、等々で公式に無料配信されているアニメや映画の情報や感想

顔も見えない声に命じられるまま、モニターごしに遠くの人々を殺しつづける戦争『ドローン・オブ・ウォー』(01:42:26)配信期間:2020年3月7日~3月20日

無人爆撃機による戦闘をテーマにした、2014年の米国映画。『ガタカ』『ロード・オブ・ウォー』等のアンドリュー・ニコルが監督と脚本をつとめる。

gyao.yahoo.co.jp

911世界同時多発テロ以降、無人爆撃機で高空から一方的に敵を殺戮するようになった米軍。

2010年のその日も、ラスベガス近くの空軍基地から、遠くアフガニスタンの標的を爆撃する。

そんなある日からCIAが攻撃を指示するようになり、非戦闘員をまきこむ攻撃命令にしたがっていく……

 

以前に配信された『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』がひとつの攻撃を決定するだけで右往左往する会議を描いたのと対照的に、『ドローン・オブ・ウォー』の兵士は無数の攻撃を淡々とこなしては家庭と基地を往復していく。

さすがにCIAの無機的な指示に現場は反感をもっていくが、上官は自分を納得させて攻撃をつづけるし、同僚は標的を非戦闘員ごと殺す正当性を臆面もなく主張する。

カメラはけして標的となるイスラム系の人々の目線におりない。上空から俯瞰した動きの少ない映像で、効果音のつかない爆発が静かに起きるだけ。しかし何を言っているのかすらわからなくても、現地の人々の心情を想像することはやめられない。

そうして標的を殺す任務に疑問が生まれる一方、仲間を守る納得しやすい任務は実感がわきにくい。だからか関係が冷めつつある妻に任務を優先したと説得できない。

 

何も実感できない任務の日々で生活を犠牲にしていく。軍隊を題材とした映画では古典的なテーマだが、それを現代のモチーフでより明確に語りなおした作品。見て損はないだろう。