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CGアニメで描かれる貧困社会のゾンビ映画『ソウル・ステーション/パンデミック』(01:32:17)配信期間:2019年12月21日~2020年1月4日

実写ゾンビ映画新感染 ファイナル・エクスプレス』も絶賛配信中のヨン・サンホ監督による前日譚。字幕と吹替の両方が初無料配信された。

gyao.yahoo.co.jp

ソウル駅にたむろするホームレスや貧困カップルにゾンビパニックが少しずつ広がっていく。 

社会から見捨てられた人々は、あらかじめ生ける屍のようにあつかわれている。それゆえ危機を注目する人々は少なく、もともとの体臭や言動のためゾンビと区別しづらい。それゆえ大都市の中心部なのに、ゾンビ感染が人知れず広がっていく。

 

アニメといっても手描きではなく、人形のような3DCG。あまりリアルではない。

しかし大挙して襲ってくるゾンビの群れや、街中や通路をはげしく移動するカメラワークなどのピンポイントで3DCGが活用されている。

特に後半のゾンビが落下するゲームのような場面が、物理演算のようなゾンビが楽しい。人間と同じ形状の人間とは異なる存在ということが視覚的によくわかる。

 

 

いくらパニックになっているとはいえ主人公カップルが間抜けすぎたり*1、世界観がしみったれていてホラーにしても陰鬱すぎる感はあるが、よくできた作品だ。福祉の大切さをうったえながらホームレスは蔑視する若者たちにはじまり、風刺作品としての見どころも多い。

特に驚いたのが「オヤジ」の真相。微妙に強すぎたり「乱暴」だったりといった違和感をつみかさねた果てに、「再会」でとんでもない正体をあらわにする。最初に画面に登場した場面を見返すと、たしかにヒロインの「本当の父親」と思うと「会話」に違和感がある。そこまで疑問に思った「あまり携帯」を「活用」しなかったことは、このサプライズを成立させる準備だったのだ。

*1:せっかく携帯電話を持っているのに、電波がとぎれる場面はしかたないとして、つながるようになっても連絡をとろうとしない。