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捏造された犯人をめぐる、悪徳刑事と悪徳検察のカオスきわまりないバトル『生き残るための3つの取引』(01:59:46)配信期間:2019年11月24日〜12月3日

ベテラン』のリュ・スンワンが2010年に監督したコリアンクライムサスペンス。今年2回目の無料配信*1

gyao.yahoo.co.jp

連続児童強姦殺人事件の、最有力容疑者を射殺してしまった警察。事件をきちんと解決したことにするため、それらしい犯人を捏造することが決定する。

その犯人捏造を上層部から命じられた優秀だが異端の刑事チョルギには、元ヤクザの建設会社社長チャン・ソックがバックについていた。一方、エリート検察官のチュ・ヤンには、チャン・ソックと対立するキム会長がバックについていた。

チャン・ソックとキムの対立が、チョルギとチュ・ヤンの対立へ発展。事態は混迷を増しながら、更生した元児童強姦犯イ・ドンソクが犯人にしたてあげられていく……

 

いかにも韓国映画らしいクライムサスペンスだが、かなり勢力図が複雑で、ちょっと序盤はとっつきづらい。

アクションもカタルシスを感じさせるような激しさはなく、柔道のように投げたりして痛めつけるだけだったり、手元が狂って傷つけてしまったりと、あえて醜く無様に演出している。

あまりにも救いのない顛末もふくめて、ブラックなギャグにも感じられ、逆に娯楽としての見やすさがあった。

 

また、意外なことに犯罪映画の謎解きにも見どころがあって、真犯人を名指しする「DNA鑑定」こそ唐突だが、「娘が似ていない」という伏線はなかなか印象深い。

」が「知的障碍」なのは「更生」のためでなく、「連れ子の娘」を強姦しやすいからという、暗澹となる真相がそこにあった。

そして「偽犯人」が真犯人だという真相は、そのまま「警察」と「検察」のバトルに「何の意味」もなかったという、あまりに「虚しい」オチにむすびついた。

発端の事件が、映画全体を象徴している。よくできた構成の作品だ。