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韓流ドラマチックなVFX満載の海賊アクションを、間抜けな山賊がシリアスブレイク『パイレーツ』(02:09:44)配信期間:2019年9月26日~10月25日

朝鮮王朝へ贈られた国璽をめぐる、史劇的海洋アドベンチャー映画。2014年に公開された準新作が、約1ヶ月にわたって初無料配信。

gyao.yahoo.co.jp

朝鮮王朝の設立にいたる軍の反乱に反発し、やがて山賊になった元将兵の集団。

癒着した官へ部下を差しだそうとする頭領を追い落とし、新たな頭領となった女海賊。

明から国璽*1を受けとって海路を戻る途中、船が沈んで鯨に国璽を飲みこまれてしまった使節

三者の思惑がからみあい、やがて鯨と国璽をめぐる争奪戦が始まる……

 

女海賊が元奴隷の少女にしたわれる百合っぽさ。最低な元頭領への複雑な感情。それが国璽を失って処刑されかねなくなった使節の思惑や、海賊を支配しようとする官憲とのいりくんだ対立と協力を生みだしていく。

そんなシリアスなドラマが、ノリでマヌケに生きている山賊のギャグで茶化されていく。反乱に反発した発端もシリアスさはあまりなく、空気を読めないノリで動いた結果でしかない。それが映画を重たくせず、娯楽としての軽やかさを支える。

女海賊と山賊の頭領が恋愛関係に発展しそうで一線を超えないこともストイックで良い。複数の組織と思惑がいりみだれながら、描写が必要最低限なので、説明不足にも情感不足にもならない。国と民の緊張関係を描くにあたって、男女の緊張関係はノイズになりかねない。

 

やや海面のCG表現は露骨だが、下手な日本映画を超えるクオリティがある。物語のポイントとなる鯨の親子も自然な3DCGで、ハリウッド映画にもひけをとらない。

巨大な港町で山賊と海賊が追いかけっこする場面は、VFXで見事に作りあげられた斜面の街が楽しめる。ウォータースライダーのような空中水道や巨大水車が家々を破壊するダイナミックさはスピルバーグ作品のようだ。

ただ、ややアクションはスローモーションの多用が目立ち、あまり俳優の身体能力が高くないのをごまかしているかな?とは思ったが、そう悪いというほどでもない。楽しむことは充分にできるだろう。

*1:王朝の正統性を示すため、中華帝国から各国へ贈られたハンコ。日本では漢委奴国王印が有名。