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ひとりの「軍神」が予兆のように象徴する、大日本帝国の無残で滑稽な敗北『キャタピラー』(01:27:02)配信期間:2019年8月1日〜14日

何度か無料配信された故・若松孝二監督の2010年度作品が、15歳以上の要ログインで2週間無料。

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1933年に発表された反戦作品の『ジョニーは戦場へ行った』と、1929年に発表された江戸川乱歩反戦的短編『芋虫』がモチーフ。

戦争で手足を失った兵士という設定から、小さな村で神輿のように祭りあげられる日々と、介護に苦しむ妻という普遍的なストーリーが展開される。

 日中戦争の勝利の余韻をもって、戦争に喜んで参加していく日本の片隅で、いちはやく無残な姿になった男。社会に賞賛されながら後始末を押しつけられ、夫婦の立場が逆転した葛藤をかかえる女。

日本映画では珍しく、日本軍の現地人への加害を明確に描いて、その記憶が女性上位となった家庭で夫をさいなむ。

せまい世界での鬱屈した日々を延々と描きながら、いくつもの鮮烈なコントラストな構図のおかげで飽きさせない。

 

ただし、あまり予算のある作品ではなく、特に冒頭の戦闘シーンがバラエティ番組の再現ドラマレベルなのはいただけない。

本筋の村シーンにしても、よく使われるロケ地をそのまま利用したことが画面からうかがえる。

 

とはいえ、そうした安っぽい画面だからこそ、独特の迫力が生まれているのも事実。

物語の根幹をなす四肢欠損の特殊メイクはクローズアップに耐える出来栄えで、主演女優の寺島しのぶもセックスシーンで体をはる。

あくまで風刺作品として、ある種のカルト映画のように鑑賞するのが良いだろう。