同名のゾンビサバイバル小説を『007慰めの報酬』のマーク・フォスター監督が2013年に映画化。吹替と字幕の両方で初無料配信。
原作は、ゾンビ感染が収束しつつある各国にメインキャラクターがいて、狂言回しの主人公が見聞して回るリアリティを追及したホラー小説らしい。
対する映画は、ブラッド・ピット演じる主人公が家族を守るため、ゾンビの感染源をさぐる任務につくシンプルなアクションサスペンスとなっている。
年齢制限を回避するためにエログロシーンが少なく、刺激が弱くてマニアには不評なかわりに、気軽な見やすさはある。
とはいえゾンビ映画としてもポンコツ感が強くて、ブラッド・ピットが助けるはずだった研究者はマヌケな事故であっさり退場。次に向かったイスラエルでもせっかくの入念な準備がマヌケな失敗で瓦解してしまう。
最後の研究所で主人公は反撃の糸口をつかむが、そこでせっかく外部と交信する手段があるのに、家族へのメッセージを告げるだけでアドバイスをもらおうとしたりしない。すぐ近くに生きている電話機があるので、そのベルを鳴らす回数をメッセージにするよう監視カメラでつたえれば、もっとやりようはあったはずなのだが。
この映画は知恵を使った頭脳戦を期待するべきではなく、とにかく予算を使ったアクションとVFXの物量と、そのシチュエーションの多彩さを楽しむのがいいだろう。
特に航空機内でゾンビパンデミックが始まる密室サスペンス性と、大がかりな対処方法は大作映画でなければ表現できない面白い情景だ。後に『甲鉄城のカバネリ』や『新感染ファイナル・エクスプレス』へと発展した津波のようなゾンビ表現も、あっさりした描写ながら悪くない。