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暴力集団に育てられた少年が、怪物をてなずけていくスリラーアクション『ファイ 悪魔に育てられた少年』(02:05:20)配信期間:2017年10月1日~2017年10月31日

2013年の韓国映画。運命の不思議から誘拐組織に育てられた子供が、組織のメンバーを父と慕い、犯罪技術を身につける。

gyao.yahoo.co.jp

ひょんなことから犯罪者が日常の生活をはじめて、人間性をとりもどしていく物語は珍しくない。コメディタッチな作品が多いが、シリアスタッチな作品も少なくない。ちょうどGYAO!でもシリアスな『ヒストリー・オブ・バイオレンス』が配信されている*1

しかし、この映画の凶悪犯は数が多く、その犯罪は陰惨きわまりなく、とりもどす人間性も中途半端だ。そこから描かれるのは、犯罪を描いた韓国映画らしく、暑苦しく湿っぽく激しい物語。

 

誘拐した組織は、「白昼鬼」と呼ばれる男たち。そこで主人公の少年はファイと名づけられ、犯罪技術を教えこまれる。

ファイは優しい精神性が犯罪の遂行を邪魔して失敗。それでも白昼鬼はファイを見捨てず、立派な殺戮者として育てようとする。

そんな奇妙な家族愛が、はてしなく破滅に向かって転がり落ちていく。

 

アクションシーンは韓国映画の水準を見せつけるかのような完成度と充実ぶり。しかも伏線と応用がきいている。

冒頭の1998年の犯罪はサイコキラーまがいの凶悪ぶりで、後の家族愛との強烈な対比となる。そこで登場する人物が本筋の物語にも意外な再登場をしたりもする。

それから2013年に時代を移し、白昼鬼のひとりとファイの子供っぽいカーチェイスからコメディタッチに移行する……かと思わせて、地上げをめぐる殺戮劇が始まる。前半で描かれた白昼鬼の特技がそれだけでアクション映画として充分なのに、後半で発展したかたちで演出されて圧倒されるしかない。

そして主人公ファイは、白昼鬼を瓦解させていく縦筋だけでなく、地上げという横筋の犯罪にもかかわっている。登場人物に無駄がない。

 

ただひとつ文句をいうと、最後の最後に明かされる白昼鬼の来歴は、やや蛇足だったかもしれない。底知れなさが薄まったし、人間関係がせまくこじんまりとしてしまった。

とはいえ本筋が終わってからの物語もしっかりしていて、エンドロールの演出も素晴らしく、2時間超を飽きさせない充実した作品であったことは間違いない。

 

ちなみにVFXでクレジットされるのは、韓国トップクラスのCG制作会社4th Creative Party。現在ではNetflix製作で話題のポン・ジュノ監督作『オクジャ』で、怪物化した豚を担当。

おそらく今作では景色や戦闘のデジタル補正と、主人公が幻視する怪物を担当している。日常のVFXは気づかないほど自然であるし、怪物のCGはそのままモンスター映画に使えそうなほどよくできている。

 

*1:ネタバレになりかねないので、タイトルは背景色と同じにした。https://gyao.yahoo.co.jp/p/00597/v12659/