記憶を無くした二人が、奇妙な酒場でゲームをもちかけられる。そのゲームを進めるうちに、それぞれ自分が死んだ時のことを思い出していくが……
アニメ制作者の公的支援事業アニメミライで採用され、短編アニメ化された『デス・ビリヤード』。
酒場の正体も明かさず、勝負した二人の結末も確定せず、視聴者の想像にまかせるリドルストーリーとして完成されていた。約30分しか時間がなくても、閉鎖環境を舞台に選んで、高度な芝居やアクションをもりこみ、物語を破綻させなかった。
そのオリジナルスタッフが中核となり、オリジナルTVアニメとして発展させたのが『デス・パレード』。
もともとが映像技術者の支援でつくられた作品だけあって、TVアニメでも映像のすみずみまで神経がいきわたり、表情も芝居も細やか。
ただ『デス・ビリヤード』と違って楽屋裏を第2話でばらし、ゲームした死者がどうなるかもはっきりさせる。ずっとウェルメイドでわかりやすい物語になった。
単独で評価するなら悪い作品ではないが、合わせて見ると『デス・ビリヤード』のリドルストーリー性が失われてしまう。それが残念な作品だ。