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フリームービーメモ。GYAO!、YOUTUBE、バンダイチャンネル、ニコニコ動画、等々で公式に無料配信されているアニメや映画の情報や感想

宇宙船内で戦闘生物に追いつめられるSFホラー映画の金字塔『エイリアン 【字幕版】』(01:56:38) 配信期間:2017年4月26日~2017年4月29日

シリーズ特集で、他の関連作品が300円から100円に値下げされるなかで、リドリー・スコット監督による初代だけが短期間無料配信される予定。

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配信開始の初日水曜日の21時から再生すると、映画評論家の町山智浩id:TomoMachi)による解説ツイートが楽しめるという企画も用意されている。

映画自体、ギーガーの生物的ななまめかしいデザインワークスや、怪物に襲われるという無駄のないプロットに陰謀をあばいていくミステリの娯楽性、何よりリドリー監督らしいゴシックな絵作りで、原題でも全く古びていない。

それでいてミニチュアと合成を活用した特撮は適度にアナログで、レトロフューチャーな世界観をかたちづくっている。

人が悪で、虫と獣が善という珍しい構図のホラー『フェノミナ』(01:55:29)配信終了日:2017年5月17日

1984年に公開された超常ホラー作品。ここのところ続いているアルジェント作品配信の一環。

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次々に善人が殺されていくスラッシャー映画の主人公に、昆虫と仲の良い少女をあてがった変化球。

しかしアルジェント作品にしては人工的な耽美性は抑え目で、ゴブリンによる狂騒的な音楽を除いては一般的によくできたホラー映画に近い。スイスの美しい高原を舞台とした殺戮劇のコントラストも印象的で、昆虫や動物を使った撮影もかなりリアル。

それでも主人公が夢遊病の設定で、特に本筋に関係なく高所から落ちそうになったり、夢の中で不思議な屋内を目撃したり……さらに殺人犯のアジトが舞台セットのようだったりするのは、やはりアルジェントらしい作風といえるか。ガラスを割りながら死ぬ演出も過去のアルジェント作品にあったものだ。

麻耶雄嵩作品を思わせる、アンチミステリ的なサスペンス『シャドー』(01:41:07)配信終了日:2017年5月10日

小説『シャドー』に関連する連続殺人事件が発生し、小説家が主人公として警察に協力するサスペンス。1982年に公開。

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ここのところ連続して配信されているダリオ・アルジェント監督作品のひとつ。『サスペリア』以降にオカルトホラーへ移行していたアルジェント監督が、ひさびさに超常現象の出てこない猟奇殺人サスペンスを手がけた。

人工的な映像美を排して、現実のモダンな建築にロケしている。とはいえBGMのプログレッシブぶりは過去作品と変わらないし、流血の惨劇を正面から映す表現は当時のスプラッタ―ブームによってさらに過剰に。目撃した出来事がクライマックスで回想され、異なる意味に気づくという手法も過去作のまま。

しかし、連続殺人事件の全貌を真相開示の前に気づく観客はなかなかいないだろう。誰が見ても犯人としか思えない人物が予想外の結末をむかえてから、映画全体の構造が変わっていく。

犯人ではありえない「主人公」が「連続殺人に便乗する」ために犯人を「殺して」、それゆえ「アリバイ」を入手するという展開は麻耶雄嵩の某作品を連想させる。さすがに全体として整合性や伏線は不足しているものの、どんでん返しとしてはよくできているといっていい。

けっしてリアルなサスペンスを期待してはいけないが、人工的な世界で読者を驚かすミステリに近い雰囲気はあるのだ。

 

また、くりかえしイメージシーンで登場する赤いハイヒールの女性は、エヴァ・ロビンスが演じている。

ロビンスは男性として生まれたが、現在までは女優として生きている。なるほどそう知って見ると体型は欧米人にしてもガッシリしているが、同時に超越的な美しさを感じさせ、ファムファタールらしい魅力にあふれている。